2021年川崎市議会第4回定例会(12月議会)詳報・その4
川崎市議会 第4回定例会(12月議会)/12月17日の一般質問で、おおば裕子議員が行った〈ジェンダー平等と第5期川崎市男女平等推進行動計画(案)について〉の質問は、次の通りです。
(4)ジェンダー平等と第5期川崎市男女平等推進行動計画(案)について、伺います。
大庭 質問①
第5期川崎男女平等推進行動計画(案)が示され11月の文教委員会で報告がされました。これは、2022年度から2025年度までの4年間の計画で3月に策定される予定です。
この計画案にかかわって伺います。
まず川崎市の男女共同参画やジェンダー平等に係る理解についての現状についてです。
男女の地位の平等感については、「男性の方が優遇されている」と回答する人の割合が、川崎市は高いとしています。男女の割合について、伺います。
市民文化局長 答弁①
男女の地位の平等感についての御質問でございますが、
平成30年度に川崎市男女共同参画センターで実施した「かわさきの男女共同参画に関するアンケート調査」において、男女の地位の平等感について尋ねたところ、社会全体での平等感については、「男性の方が優遇されている・どちらかといえば優遇されている」と回答した人の割合は、女性で85.2%、男性で66.2%となっております。
大庭 質問②
社会全体で「男性の方が優遇されている」と答えた女性が85.2%。男性が66.2%で、女性と男性との意識に20ポイント近くも差があるいうのが本市の現状です。
課題として、「固定的な性別役割分担意識の解消」や「市の職員の意識啓発を図る」など、いくつかがあげられていますが、意識の差をなくすための具体策が求められます。
そこで、働く場、家庭における男女共同参画について現状についてです。
川崎市の審議会等及び市役所管理職に占める女性の割合は大きく改善が見られない状況にあるとしています。
市役所の女性管理職については、同僚の議員が質疑をしたところですが、審議会等の役員委員についても、改善が求められているとしています。女性が一人もいない審議会は22あるとのことです。その審議会は長期にわたっているのか、改善がみられない要因とそれらの審議会の特徴について伺います。改善に向けどんな努力をしてきたのか伺います。
市民文化局長 答弁②
審議会等委員の女性の参加状況についての御質問でございますが、
昨年度に女性委員ゼロであった審議会等のうち、5つについては解消いたしましたが、昨年度に引き続き14の審議会等に加え、新たに8つの審議会等で女性委員がゼロとなったものでございます。その主な理由といたしましては、専門家・学識経験者に女性が少ないことや推薦を依頼している団体自体に女性の参画が少ないことなどが考えられるところでございます。
改善に向けた取組といたしましては、委員候補者を検討する段階から女性の参加促進に取り組めるよう、各局本部室区に設置している男女共同参画推進員を通じた啓発や、女性委員の確保に向けた情報提供等を行うとともに、委員を決定する前に市民文化局と所管局区において事前協議を行っているところでございます。
大庭 質問③
専門家・学識経験者に女性が少ないことや推薦を依頼している団体自体に女性の参画が少ないなどが考えられるとのことですが、決定権の場に女性がいないというのは、本市にとっても損失ととらえ、「男女の平等感の意識」の差にあらわれている分野として、各所管局あげて取り組むことを要望します。
現状の本市の働く場・育児・介護の分担状況についてです。「収入を得ることは男性に偏っており、家事・育児等は女性に偏っている」としています。分担状況では、収入を得ることでは、男性は79.2%、女性は8.6%です。課題としは、ここでは、女性の参画拡大や女性のキャリア形成の支援を行うことなどをあげていますが、それだけではなく、男女の賃金格差が大きいことが課題ではないでしょうか。経済的に女性が男性に依存しなければ生活できない構造になっています。男女の賃金格差は生涯賃金で1億円。国の調査によれば、正社員でも女性の賃金は男性7割、非正規を含む平均給与は男性532万円、女性293万円です。40年勤続だと生涯賃金では、1億円近い格差になります。年金でも大きな男女格差になり定年まで働いても年金で生活できない女性は圧倒的です。賃金の平等はジェンダー平等社会を築くうえでの土台中の土台です。EUでは、女性の賃金は男性の8割から9割になっていることが大問題となり、今年の3月、男女の賃金格差を企業に義務付け透明化をテコに是正させるEU指令案を発表しています。政府は男女賃金格差の実態の公表については消極的ですが、提案として、川崎市は働きやすい職場づくりに取り組み「かわさき☆えるぼし」認証制度を2018年度から創設をしています。そこに男女の賃金の差がないことを公表する企業がでてきもいいのではないでしょうか。認証制度の条件の取り入れることはできないか、副市長に伺います。
副市長 答弁③
男女の賃金格差等についての御質問でございますが、
「かわさき☆えるぼし」認証制度は、市内中小企業における女性活躍を推進することを目的に創設した制度でございまして、各企業に男女の賃金格差といった情報の公表までは求めてはおりませんが、この制度の中で、「女性管理職の登用」や「女性従業員の非正規雇用から正規雇用への転換」、「男女別の平均勤続年数の差異の縮小」などの取組を評価項目として設定しているところでございます。
国においては、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定の際に把握すべき項目のーつとして、「男女の賃金の差異」を設定しておりますので、引き続き企業に向け、情報提供に努めてまいります。
大庭 質問④
男女の賃金格差は、ジェンダー平等を考える上で重要です。引き続き問題提起をしていきたいと思います。
次に地域において様々な困難を抱える女性への支援についてです。
現状では、「DV関する相談件数は増加傾向にあり被害の多様化・複雑化が顕在化」「相談窓口を知らない」「認知度は低い」状況とのことです。相談窓口の周知や窓口の対応、相談者への配慮など、支援の充実強化相談者の配慮など、支援の充実強化が求められます。
そこで、視点を身近なことに変えますが、先日、継続的に中原区役所で支援の相談を受けている女性から「相談室がお粗末(位置)ではないか」「(通路の隣で)相談員と相談者の話しが周囲に聞こえる」「手続きをしている内容がわかる、改善してほしい」との相談がありました。対応について中原区長に伺います。
中原区長 答弁④
相談環境についての御質問でございますが、
中原区役所におきましては、相談内容に応じて、窓口 カウンターや別室、個室の相談室などを使用し、プライバシーに配慮した上で、様々な相談対応を行っているところでございます。今後とも、相談者のプライバシーを保護し、感染症等の予防にも配慮しながら、安心して御相談いただけるよう環境の改善に努めてまいります。
意見要望
環境改善をよろしくお願いします。
本市の社会全体での平等感というのが、「男性が優遇している」と思っている女性は多いが、男性はそう思っていないという結果です。口先だけの「男女共同参画」「多様性の尊重」にならないように2、第5期男女平等推進行動計画具体化を施策に反映してもうらよう要望します。
コロナ危機は女性のさまざまな犠牲をしいました。低賃金の非正規雇用で働く女性が仕事を失い、ステイホームが強いられるもとでDV被害が急増し女性の自殺率も増えています。