2021年川崎市議会第4回定例会(12月議会)詳報・その2
川崎市議会 第4回定例会(12月議会)/12月17日の一般質問で、おおば裕子議員が行った〈特別養護老人ホーム「こだなか」の対応及び課題などについて〉の質問は、次の通りです。
(2)特別養護老人ホーム「こだなか」の対応及び課題などについて、健康福祉局長に伺います。
大庭 質問①
特養ホーム「こだなか」の施設は、2020年の公募で、当時の運営法人が定員50人の小規模施設などでは採算がとれないこと、建物の老朽化への対応などから運営継続は困難だとして応募を辞退することとなりました。その後、別法人が一旦は応募したものの人材確保や引継ぎ期間の短さなどから応募を撤回、廃止となりこの4月に閉鎖されました。
現在、休止中となっている「こだなか」の移管先運営法人の募集に向け、準備が進められていますが、地域からは、「譲渡民設化により、同じように運営ができなくなるのではと」不安の声が寄せられます。公募が見送られる事態となった経過を踏まえた改善策はなされるのか、見解を伺います。また、募集対象の運営内容、主な移管方法、今後のスケジュールについて伺います。
健康福祉局長 答弁①
特別養護老人ホーム「こだなか」についての御質問でございますが、
はじめに、この度の公募につきましては、「老朽化した 施設に対する対応」として、今年度、新たに大規模修繕補助制度等を創設したところでございます。 また、「譲渡民設化の諸条件」につきましては、「原則 20年以上の運営継続」及び「土地の更地返還」について、協議・調整を行うことができるなど、課題解決策について整理を行って実施しているところでございます。
次に、公募内容につきましては、第8期計画に位置付けている定員50名の従来型多床室を基本とし、要介護 高齢者の在宅生活を支える併設サービスとして、看護小規模多機能型居宅介護等を設置いたします。
また、移管方法等につきましては、士地は無償貸付、建物は譲渡契約による譲渡とし、本年10月18日から 令和4年1月14日まで運営法人の公募を行い、その後、外部委員による法人選定を実施し、令和4年6月の譲渡議案上程を経て、令和4年度末に運営開始を予定しているところでございます。
大庭 質問②
老朽化対応については、「大規模修繕補助制度等を創設」するとのことで、2021年度予算は6500万円としています。また「譲渡民設化」については、「原則 20年以上の運営継続」及び「土地の更地返還」とし、市が20年間は事業者に土地を無償で貸すとのことです。これまで10数団体の法人等が見学会などに参加したとのことで、応募状況を注視していきたいと思います。
そこで、入所定員数についてです。
大規模改修補助制度が、2021年4月から開始され、「こだなか」は対象施設となります。本市は、特養ホームの待機者が2751人その内要介護5は562人と深刻です。一人でも多くの方が速やかに入所できる対策は、定員数を増やすことです。「こだなか」の募集定員は以前と同じ50人です。大規模改修という機会をとらえて多床室を増床し、補助制度も充実させて定員数を増やすことを応募の条件にしていくべきです。伺います。
健康福祉局長 答弁②
特別養護老人ホーム「こだなか」についての御質問でございますが、
運営法人の公募につきましては、要介護高齢者の在宅生活を支援する併設サービスとして、中原区に充足が望まれる看護小規模多機能型居宅介護等の設置を必須とするとともに、第8期計画に位置付けている定員50名の従来型多床室を基本としているところでございますが、募集要項において、定員51名以上の応募も可能としているところでございます。
大庭 質問③
我が党は、第8期計画時の新規がないことも指摘し、不足している特養ホームの増設を繰り返し求めてきました。答弁では、定員51名以上も応募可能とのことですので、改修方法を工夫し、大幅に定員を増やすよう求めておきます。
入居者だった24人は、コロナ禍の中、2020年度末までに他施設への転居を余儀なくされることとなりました。先日、この3月まで、母親を「こだなか」に入居していた方といっしょに、休止中のこの施設を見学しました。この方は、(自宅から施設まで3分でした)、遠い施設に入居を余儀なくされました。安心して入居が継続できる施設を望んでいます。以前、入居していて、戻ることを希望される方やご家族がいる場合の対応にについて、伺います。
健康福祉局長 答弁③
特別養護老人ホーム「こだなか」についての御質問でございますが、
本施設の一時休止における入居者の移転調整に際し、令和2年10月と令和3年2月に説明会を開催いたしましたが、説明会に参加をいただいたご家族からも同様の御意見をお受けしているところでございます。このため、本公募の募集要項において、移転調整を行った「こだなか」の入居者から、再開する施設への入居希望があった場合につきましては、「川崎市特別養護老人ホーム入退居指針」により、運営法人等と調整を丁寧に進めてまいります。
大庭 質問④
法人任せにすることなく市として責任ある対応をお願いします。
次に介護人材確保についてです。
そこで、運営開始以降の助成金についてです。入所者または、利用者の処遇改善を図る目的により、国の定めた職員定数を超えて1か月以上雇用した際の助成金を本市は行っており、現在11施設で活用しているとのことです。対象職員数は、定員51名~60名の施設で1名とのことですが、これでは不足解消に結びつきません。安定して働くことができるよう、職員を増員することはできないのか、伺います。
また、給与は月額18万円、臨時的賞与あるとのことです。全産業平均より10万円低いとされる介護職員の賃金を上げていくことは必要です。助成金を増やして以前に助成していた月額20万円にもどしていくべきです。伺います。
健康福祉局長 答弁④
特別養護老人ホームについての御質問でございますが、
はじめに、本市のこれまでの特別養護老人ホームの整備の考え方として、本市は都市部であり、用地確保が困難なことから、小規模な施設の整備を推進し、居室形態につきましては、市民ニーズに対応するため、比較的利用しやすい料金である多床室の整備を進めてきた経過がございます。しかしながら、小規模施設は人件費率が高く、数名の退所が稼働率に大きく影響するなど、経営が不安定になりやすい傾向があることから、本市独自に定員60名までの施設に対し、職員雇用費の助成を行っているところでございます。
次に、介護人材の確保と定着を推進するにあたり、国は、介護報酬等の制度設計について、本市は、人材の呼び込みや定着支援等について、それぞれが役割を果たしながら、取り組んでいく必要があると考えているところでございまして、引き続き、指定都市市長会などを通じて「適切な介護報酬の設定」などの対策を講じるよう、 国に要望してまいりたいと存じます。
大庭 意見要望
代表質問で、全施設で236人分の空きがあり深刻な介護職員不足を解消しなければならないと私たちは増設と一体に介護職員不足の解消を求め、今回、家賃補助や資格取得の支援など検討するという答弁もありました。職員不足を解消し定着して働くためには、直接の財政支援策が求められます。「こだなか」については、安定した運営とともに介護職員不足についても、引き続き、注視してまたとりあげていきたいと思います。