2021年川崎市議会第3回定例会(9月議会)詳報・その2
2021年川崎市議会 第3回定例会(9月議会)/9月27日の決算審査特別委員会・文教分科会で、おおば裕子議員が行った質問は、次の通りです。
9月27日/決算審査特別委員会・文教分科会
(教育委員会)
(1)教育指導費、児童生徒指導事業及び通学路の安全対策について伺います。
大庭 質問①
2020年度学校安全対策推進事業費の支出額は2,998万円余です。事業費の内訳について、伺います。
小竹 健康教育課 担当課長 答弁①
学校安全対策推進事業費についての御質問でございますが、
内訳につきましては、警察OBであるスクールガー ド・リーダー25名の報償費として約2,878万円、スクールガード・リーダーや学校が依頼する見守りボラ ンティアであるスクールガードの活動物品に係る費用として約64万円、活動に係る保険料及び連絡用の郵便料に係る費用として約56万円となっております。
大庭 質問②
6月に千葉県八街市で小学生の列にトラックが突っ込み児童5人が死傷した事故によって、再び通学路の安全対策の強化を求める声が高まり、本市でも見直し点検が始められています。
毎年、川崎市では交通安全プログラム対策事業を実施して、警察と道路公園センターとで現地調査を行うとされています。過去3年間の危険カ所数、これまでどういう場所が危険と判断されてきたのか。危険箇所数と改善数について、改善が進まない箇所についての主な要因について伺います。
八街市の事故を受け、警察OBによるスクールガードリーダーによる点検を実施したとのことです。新たに抽出した14カ所について伺います。速やかに対応することが求められますが、年度内にどれだけ改善できるのか(箇所数)をうかがいます。
小竹 健康教育課 担当課長 答弁②
通学路の危険個所についての御質問でございますが、
「川崎市通学路交通安全プログラム」に基づく過去3 年間の通学路の改善要望件数につきましては、前年度以前からの持ち越し分を含め、平成30年度が576件、令和元年度が576件、令和2年度が495件でございます。この改善要望は、毎年、各学校が保護者等と連携を図りながら、通学路の安全点検を実施し、学校から対策が 必要な箇所として上げられたものでございます。また、改善要望に対する対策件数につきましては、平成30年度が165件、令和元年度が123件、令和2 年度が200件でございます。対策の検討にあたりましては、警察や道路管理者等関係機関で構成する「川崎市通学路安全対策会議」の各区部会におきまして、現地確認のうえ対応を協議し、対策を適宜実施しておりますが、未改善の要因としまして、利害関係者の合意や地域住民の理解が必要となること、関係機関との調整や周辺の道路環境、交通事情にも配慮を要すること、関係法令による規制などが挙げられます。
文部科学省から依頼のありました合同点検につきましては、同省から示された実施要領に基づき、全小学校に改めて危険個所の確認を依頼するとともに、スクールガード・リーダーに新たな危険個所の確認を依頼したところでございます。
その後、学校から報告があった確認内容について、関係機関と共有するとともに、学校、PTA、警察等による合同点検の実施が必要な箇所を協議しながら、14箇所の危険個所を抽出したところでございます。対策の実施につきましては、今後、警察や道路管理者と具体的な方法等について協議してまいりますので、引き続き関係機関と連携を図りながら、予算の確保等も含め対策を要望してまいります。
大庭 質問③
毎年500件から600件近くにわたる改善要望が出されていることになります。そう対して改善された件数、年200件程度。満たない年もあり、改善されず積みあがっていきます。未改善には、道路環境交通事情にも配慮を要することや関係法令による規制などあげられましたが、根本に安全対策を何より優先するのではなく、車優先の社会構造になっているのではないでしょうか。
危険カ所については、通学路だけではありません。保護者や見守り活動のボランティアなどの多くの人たちの協力が必要です。各学校でアンケートを取って危険カ所を洗い出し、改善方法など保護者や地域の意見を取り入れた対策が必要です。出された危険カ所を公表し、改善方法など、インターネットで情報を発信していくことができないか、伺います。
小竹 健康教育課 担当課長 答弁③
危険箇所の周知についての御質問でございますが、
通学路以外の危険箇所につきましては、スクールガードリーダーが、日々の学区内の定期的な巡回を行うとともに、当該箇所の状況を確認し、その情報を、学校をはじめ、保護者・地域等とも共有し、児童の安全指導や登下校時の見守り活動等に活用したり、PTAによる学校安全マップの作製に活かすなど、登下校時における児童の安全確保に取り組んでいるところでございます。
また、通学路の危険箇所や改善状況については、その内容を、各学校から学校だより等を活用し、保護者や地域に周知するよう依頼しておりますが、その他の周知方法についても、他都市の事例も参考にしながら、検討してまいります。
大庭 質問④
過去5年間の改善要望調査をみると、7行政区の中で中原区が最も多く、全体の34%を占め、改善も遅れています。
中原街道の大戸小学校入り口の交差点など、消えている横断歩道の表示の改善を2019年6月議会でも求めたが、道路の補修を合わせ、2年以上かかっていますが、県警察とはどういう手続きのもと、改善がなされるのか、また、通学路になっている道路標示は、速やかに対応できるように所管する警察に申し入れるべきです。伺います。
カラー舗装など道路の表示の整備、色が消えかかった場合の対応など、速やかに補修できるように、関係局との間で(ルール化)し、予算を十分確保し推進すべきです。伺います。
小竹 健康教育課 担当課長 答弁④
通学路の安全対策についての御質問でございますが、
通学路のハード面での対策につきましては、今後も、警察や道路管理者等と対策案について協議するとともに、引き続き関係機関と連携を図りながら、予算の確保等も含め対策を要望するなど、通学路の安全確保に取り組んでまいります。
大庭 意見要望
先週24日、NHKの首都圏情報ネタどりという番組で、「危険な通学路の実態」について報道がされていましたが、映像で可視化することで、危険カ所がよくわかりました。
多くの通学路の危険カ所から共通して見えてきたものとして、抜け道に利用し制限速度を超えて車が走行する問題点、また、信号整備できないところでは、車の速度をおとすために交差点の手前をハンプといって路面にコブを整備したり、狭隘路の表示をするなど、現状を良く知る危険カ所周辺に住む地域の方の意見を聞いて、本市でも検討すべきと思いました。そのためにも年度を越えることなく、予算を確保し、速やかに改善するよう重ねて要望します。
(2)就学援助費(修学旅行費)ついて伺います。
大庭 質問①
2020年度の就学援助費の支出額は、小学校が5億2,845万円余、中学校が4億8,553万円余です。各不用額は約8,760万円と約5,870万円でていますが、その理由について、伺います。また、各就学援助認定者数と認定率について、伺います。
新田 学事課長 答弁①
就学援助費についてのご質問でございますが、
令和2年度の就学援助費の不用額の理由につきましては、予算要求時点で国が示していた補助単価が、令和2年度に入り引き下げられたため、国の補助単価を準用している本市の支給単価についても引き下げを行ったことや、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からの、小・中学校の修学旅行の中止等や4・5月の市立学校の臨時休業 に伴う学校給食の中止などによるものでございます。
また、令和2年度の就学援助認定者数につきましては、 小学校が7,929人、認定率は10.7%、中学校が4,535人、認定率は15.3%でございます。
大庭 質問②
我が党の代表質問で就学援助認定者の修学旅行の参加状況について取り上げました。2020年度は新型コロナの影響により修学旅行の中止などにより実態が反映されないことから、2019年度の現状について取り上げました。市内中学校3年生の就学援助認定者127人、8.5%が就学旅行不参加。特に不参加の割合が高かったのが生活保護世帯45人で不参加者の35%をしめます。就学援助認定者以外に不参加だった生徒の人数について伺います。
各世帯の経済的理由で修学旅行に参加できないということがあってはなりません。代表質問の答弁では、保護者からの旅行業者への支払いについては、個々の事情に応じて柔軟な対応しているとのことでした。柔軟な対応についてとは、積み立てを免除したケースがあったのか伺います。旅費代は、上限6万6,000円を超えることはないのか。伺います。
経済的済的理由で不参加だったという生徒については、実態を把握して対応すべきですが、伺います。
細見 指導課長 答弁②
修学旅行についてのご質問でございますが、
令和元年度(2019)における、市立中学校の修学旅行不参加の生徒数につきましては、所管課において集約しておりません。
また、就学援助認定者に限らず、修学旅行費の積み立て払いが困難な保護者につきましては、積み立て以外の方法によるなどのケースもあったと伺っております。
修学旅行費につきましては、各学校によって、行先や宿泊場所等が異なり、班活動においても拝観コースや方法が異なりますので、必ずしも就学援助費の限度額の範囲に収まらないケースもございます。
修学旅行にかかる旅費等の支払い方法につきましては、実態把握に努めながら、学校、旅行業者等と調整を図ってまいります。
大庭 質問③
就学援助認定者で不参加だった生徒の修学旅行費の支払いについて、「個々の事情に応じて柔軟な対応している」との答弁であったので、その柔軟な対応について具体的に伺いましたが、教育委員会では、実は実態は把握されていなかったということです。就学旅行費も必ずしも就学援助費の限度額の範囲6万6,000円に収まらないケースもあるということです。
経済的な理由で修学旅行に行くことができなかった生徒の思いに寄り添えば、学校から上がってくる数字だけをみることはできません。学校現場では、その事情を知っているはずです。
各学校で、現状を把握して参加費用を納付期限までできない場合は、学校の裁量で、立替えをしてでも修学旅行に参加させるべきではないですか。見解を伺います。また、就学援助認定者以外の生徒が不参加の理由についても把握をすべきです。伺います。
川崎市は認定基準が生保基準の1.0のままです。政令市では、新潟市、静岡市、熊本市は1.3にひきあげるなどしています。引き上げることによって就学援助認定者となり、経済的な理由によって参加ができない生徒はいなくなります。認定基準の引き上げを検討すべきです。伺います。
細見 指導課長 答弁③-1
修学旅行についての御質問でございますが、
修学旅行不参加の事由につきましては、さまざまなケースがございますので、学校と情報の共有を図りながら 実態把握に努めるとともに、費用の支払い方法につきましても、学校、旅行業者等と調整を図るなど配慮に努めてまいります。
新田 学事課長 答弁③一2
認定基準についての御質問でございますが、
就学援助費の認定につきましては、本市では生活保護を受給している要保護者に加え、生活保護基準額の1.0倍以下の所得を基準とした準要保護者に対して就学援助費を支給しているところでございます。各自治体が採用している生活保護基準額に乗じる倍率や参照している生活保護の扶助の種類は様々でございますので、単純な比較はできませんが、本市が採用している基準額は要保護者に準ずる程度に困窮しているという観点から、必要な水準を満たしているものと考えております。
意見要望
修学旅行費は就学援助費として認められている制度ですから、教育委員会も一緒になって対策を考え、一時的に立替えで支払うことは可能ではないですか。就学援助認定者ではなくても、不参加である理由についても把握すべきです。修学旅行の参加の有無によって就学援助利用対象となることも考えられます。就学援助制度の周知とともに、認定基準の引き上げを合わせて、求めておきます。
(3)定時制高等学校管理費、高校生の相談支援について伺います。
大庭 質問①
2020年度、定時制の学校運営費は、2,809万円余が支出されました。このうち、川崎高校、高津高校、橘高校における定時制生徒の学習や就職等の相談・支援について、これは定時制生徒自立支援業務委託料ですが、各学校別に伺います。また3年間の支出額についても伺います。
五味 指導課 担当課長 答弁①
定時制生徒自立支援業務委託料についての御質問でございますが、
令和2年度における委託料は、川崎高等学校、高津高 等学校及び橘高等学校それぞれ157万5,310円で ございます。また、平成30年度、令和元年度、令和2 年度の過去3年間における委託料の合計は、川崎高等学校及び高津高等学校はそれぞれ440万9,310円で ございまして、橘高等学校につきましては、令和2年度 から業務委託を開始しておりますので、 157万5,3 10円でございます。
大庭 質問②
居場所カフェの事業が、生徒の抱える課題や困難に早く気づいて支援につなぐセーフティネットとしての役割を果たす事業です。学校教育の中で、高校中退の可能性の高い生徒に対して、切れ目のない支援が必要です。
2020年度、橘高校の定時制で実施された定時制生徒自立支援である「高校生居場所カフェ」は、2021年継続して事業につながりませんでした。高津高校でも同様に事業者が変更になるということがおきました。継続した事業にしていくことが必要です。見解を伺います。
五味 指導課 担当課長 答弁②
事業のホ嚇売陛についての御質問でございますが、「本事業では、専門的な知識を活かした進路指導や就労 に向けた基礎学力の定着への支援、また、不安を抱える 生徒へのサポート等、生徒との信頼関係を継続すること が重要であり、高度な専門性や応用力が求められるとど もに、各校の教育方針への理解と、学校及び教育委員会 との協力体制の構築も重要であることから、これまでの 実績なども含めた総合的な判断により、最適な事業者を 選定する必要があると考えております。
大庭 質問③
橘高校定時制は、この夏にプロポ―ザル公募で事業者を選定し、9月から事業を開始しました。これまでも、私たちは、学校や家庭ができないことを自治体や企業、民間のNPOなど外部資源との連携で生活面から学習、就労まで支援するスキームが必要と、高校生居場所カフェを位置付けてきました。橘高校のとりくみについて、伺います。
五味 指導課 担当課長 答弁③
橘高等学校における支援についての御質問でございますが、
主な取組といたしましては、1年生と4年生を対象としたキャリアサポートの実施と全校生徒を対象とした居場所力フ工の開設がございます。キャリアサポートにつきましては、1年生には自己分析やコミュニケーションスキルを高める協力作業プログラム、4年生には模擬面接を行っております。また、居場所力フェにつきましては、生徒が気軽に立ち寄り、友人やスタッフ会話を楽しむ中で信頼感が生 まれ、生徒の悩み事や進路等の相談に繋げていくなど、 生徒一人ひどりの状況に応じたきめ細かな支援を行っているどころでございます。
大庭 意見要望
高校生の居場所カフェでは、早くからこのカフェ事業に取り組む県立田奈高校に注目をしてきました。田奈高校の「ぴっかりカフェ」が掲げているのは、生徒たちへの「予防型支援」とのことです。孤立している、もしくは卒業後に孤立する恐れのある高校生たちの居場所を作ることで、生徒たちにおこりうる困難を予防すること。カフェのスタッフは、ボランティアで集まった地域の人たちとのことで、継続した取り組みの中で、支援の輪が広がり様々な活動をおこなっています。「どろっぴん」という個別相談や「バイターン」という就労支援。バイターンは「バイト+インターン」の造語で、有給職業体験です。個別相談では、卒業後のサポートもしているとのことです。支援をするにはまず関係性をつくることからと、スタッフの方は熱意をもってとりくみを進めています。市立川崎高校の「ぽちっとカフェ」も、地域と連携した支援を実施しています。生活面など生徒が抱える課題について寄り添い継続した相談支援に力点をおくよう要望し、質問を終わります。