2021年川崎市議会第3回定例会(9月議会)詳報・その1
021年川崎市議会 第3回定例会(9月議会)/9月22日の決算審査特別委員会・文教分科会で、おおば裕子議員が行った質問は、次の通りです。
9月22日/決算審査特別委員会・文教分科会
(市民文化局)
(1)総合自治会館施設整備事業について伺います。
大庭 質問①
2020年度、総合自治会館施設整備事業費は17億3,600万円余が支出されました。これまでの総事業費について伺います。またその内訳と、床面積1㎡あたりの単価について、伺います。
須山 市民活動推進課長 答弁①
総合自治会館にかかる整備事業費についての御質問でございますが、
総事業費につきましては、床の取得費や内装工事費等を含め、約24億4,000万円でございます。主な内訳といたしましては、床の取得費が18億8,464万円、内装工事費が5億2,580万円でございまして、床面積1㎡あたりの単価は約160万円でございます。
大庭 質問②
総事業費は、約24億4,000万円ということでした。また、事業完成後は維持管理費として毎月約217万円を負担することが調査でわかりました。
総合自治会館の移転の方向が決まったのは、施設が築29年の時です。公共的建築物長寿命化(2013年3月方針)の対象施設として市民とともに議論をすべきだったのではないでしょうか。政策決定はどこでおこなったのか。伺います。
公共建築物の長寿命化との関係で移転に妥当性はあったのか伺います。
須山 市民活動推進室 課長 答弁②
総合自治会館の移転等についての御質問でございますが、
総合自治会館は、昭和58年(1983)10月に全市的な市民自治活動の拠点として開館しましたが、施設の老朽化や全市的な市民自治活動の拠点としての機能、小杉町3丁目東地区市街地再開発事業及び国道409号拡幅整備事業といった周辺の開発動向などを総合的に勘案し、平成 24年(2012)12月の政策・調整会議において小杉町3丁目東地区市街地再開発事業における公共施設の導入について決定したものでございます。総合自治会館の建替え・移転等を視野に入れた整備を検討する中で、施設の長寿命化を選択する場合、老朽化に伴う修繕費や現地での建替えには国庫補助金が充てられる可能性が少ないことなどを踏まえ、総合的に判断したものでございまして、移転に関しては妥当であったと考えております。
大庭 質問③
総合的に判断したとのことですが、これだけの費用負担がかかることを市民に知らせ、会館をどうするのか市民とともに決めていくべきです。
市民に長年親しまれてきた会館は解体されました。市民からは改修して施設を利用できなかったのかとの声が寄せられています。検証が必要です。見解を伺います。
今後にどう生かしていくのか、自治会館跡地の利用の在り方も問われています。市民の意見が反映できる場が必要です。説明会を実施するとしていましたが、伺います。
町井 拠点整備推進 担当課長 答弁③
総合自治会館跡地等の活用についての御質問でございますが、
地域の方々との意見交換会やパブリックコメントなどの御意見を踏まえ策定した「総合自治会館跡地等に係る土地利用方針」に基づき、跡地活用に関し幅広く様々な提案が可能となるよう、新築または既存建物の改修のどちらの提案も可能として事業者から募集いたしました。それぞれの提案につきまして、地域代表者・学識経験者で構成する「川崎市民間活用推進委員会総合自治会館跡地等の活用に関する民間提案審査部会」において審査していただき、地域貢献や財務状況、事業の実現性や継続性などの観点から、事業者が決定されたところでございます。今後につきましては、今月の30日に説明会が開催される予定と伺っており、引き続き、地域の方々の御意見 は重要と考えておりますので、適宜、施設の運用面など、具体的な内容につきまして、事業者とともに御意見を伺ってまいりたいと考えております。
大庭 質問④
答弁では、新築または既存建物を残すのか、提案を事業者から募集し、民間提案審査部会で審査をして決定されたということで、市民の意見が反映される場はなかったことを指摘しておきます。
次に、市民からの新総合自治会館に対する要望についてです。施設内と施設外について所管する部署がまたがることから、改善が進まない現状が見受けられます。窓口を一本化して、透明性を確保し、市民に丁寧に対応を図るべきです。
開設後の利用者アンケートでは、「館内の会議室までの道筋等をわかるように標示してほしい」「エレベーターの位置がわからない、駐輪場が使いにくい」などです。改善されるのか、伺います。
須山 市民活動推進室 課長 答弁④
総合自治会館の利用環境等についての御質問でございますが、
当会館の整備にあたりましては、移転検討委員会を設置するほか、平成27年11月から12月に利用団体に対するアンケートを実施し、会議室等の広さをはじめ、スクリーン、プロジェクター、Wi-Fiなどの設備やインターネット予約の導入など、いただいた御意見を踏まえた施設整備に努めてまいりました。移転後につきましては、利用者の皆様からは、概ね高い評価をいただいているところでございますが、寄せられた御意見等を踏まえ、館内の案内表示を新たに設けるなど、必要な改善を行っているところでございます。また、施設外のエレベーターや駐輪場につきましては、共用部分になりますことから、施設全体を管理しております施設管理組合に要望してまいりたいと存じます。
大庭 意見要望です。
以前は無料の駐車場もあったし、施設の出入りも高齢者とっては利用しやすかったという声もあります。自治会館は、再開発の中に組み込まれ市民の声が十分生かされているとはいえません。再開発ありきではなく、様々な市民の意見を出し合い、市民とともにつくる施設づくり、まちづくりを進める川崎市であることを強く求めておきます。
(市民文化局)
(2)障害者スポーツ推進事業について伺います。
大庭 質問①
2020年度の障害者スポーツ推進事業費の支出額は3,483万円余です。不用額は約2,300万円で約4割に及びます。不用額の要因は、新型コロナの影響が大きく、大会やイベントが開催できなかったことによるものです。
しかし、パラスポーツは、大会やイベント開催だけでなく、日常的にスポーツに親しむことができる環境にあるのか、そもそも、障害者スポーツについての位置づけがどうだったのかの検証が必要です。
7月29日の文教委員会では、「川崎市スポーツ推進計画」の改定の報告がありました。現在、計画期間の最終年度を迎えていますが、現計画において、パラスポーツが基本方針の項目がありません。パラスポーツについてはどのように位置づけ、計画をすすめてきたのか、課題をどうとらえているのか、基本方針に位置付けるべきですが、伺います。
片倉 市民スポーツ室 担当課長 答弁②
障害者スポーツ推進事業費についてのご質問でございますが、
令和2年度につきましては、調査費は計上してございませんが、障害者スポーツ施設等視察旅費を計上しており、新型コロナウイルス感染拡大により、予定していた施設の視察を行うことができなかったものの、近隣の視察は行っております。
今後、新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえ、予定していた視察も含め、他自治体の様々な形態の施設等を視察してまいりたいと考えております。
視察を通して得た調査内容等につきましては、今度の本市の施策に生かしてまいりたいと考えております。
大庭 質問②
パラスポーツの体験や観戦の割合が低いことなどが課題とのことです。一人でも多くの障害者がスポーツに親しめるためには、何といっても場所の確保が必要です。
2019年7月15日に「障害者スポーツ文化施設等建設に関する陳情」が文教委員会で審議され、採択されました。障害者スポーツ文化施設等の建設に向けて、調査費は2020年度に計上されたのか、進捗状況と取り組みの方向性について伺います。障害者スポーツ施設は、すでに16政令市で整備されています。整備している自治体を参考にして整備すべきです。伺います。
片倉 市民スポーツ室 担当課長 答弁②
障害者スポーツ推進事業費についてのご質問でございますが、
令和2年度につきましては、調査費は計上してございませんが、障害者スポーツ施設等視察旅費を計上しており、新型コロナウイルス感染拡大により、予定していた施設の視察を行うことができなかったものの、近隣の視察は行っております。
今後、新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえ、予定していた視察も含め、他自治体の様々な形態の施設等を視察してまいりたいと考えております。
視察を通して得た調査内容等につきましては、今度の本市の施策に生かしてまいりたいと考えております。
大庭 質問③
7月の文教委員会では、スポーツ活動を気軽にできるような活動場所の確保を望む市民は63.7%と最も多いということでした。つまり「活動場所がない」ということです。パラスポーツに至っては、さらに確保するとともに環境の充実した施設が必要です。
陳情者は、「本市在住のパラアスリートは、東京都や横浜市の障害者用のスポーツ施設を活用し活躍している」とし、「障害者の施設は誰にとっても使いやすく便利」と述べています。
7月の文教委員会では、この陳情の採択を重く受けてとめるとの局長の答弁もありました。2022年度から10年間の次期計画には、障害者スポーツ施設整備をしっかりと位置づけ進めるべきです。伺います。
片倉 市民スポーツ室 担当課長 答弁③
障害者スポーツ施設の整備についてのご質問でございますが、
今後のパラスポーツ推進にあたっては誰もが日常的にスポーツに親しめる環境づくりを進めるため、障害のあるなしにかかわらず、地域でスポーツを楽しむことができる取組が必要であると考えております。
今後におきましても、既存のスポーツ施設を活用していくとともに、様々な工夫をしながら、障害者のみならず健常者も含め、誰もがスポーツを楽しむことができる実施の機会や環境の充実などを通じて、「障害の有無などにかかわらず 誰もがスポーツに親しむまち」の形成に向け、時期計画を策定し、更なるパラスポーツの推進を図ってまいりたいと考えております。
大庭 意見要望です。
陳情者が言われるように「障害者の施設は誰にとっても使いやすく便利」、つまり障害者を主体とした専用の施設は、健常者にも喜ばれる施設になるということです。今、あるスポーツ施設を障害者にどう利用してもらうか、という発想ではなく、障害者目線で意見を取り入れた専用スポーツ施設の整備を進めるべきです。障害のあるなしにかかわらずといって矮小化することなく、陳情を採択した趣旨をしっかり踏まえるよう求めておきます。整備にあたっては、その候補地としては、再編整備計画が実施される等々力緑地内に整備することを提案します。関係局と連携し、緑地を減らすことなく、ぜひ検討をお願いします。
(こども未来局)
(3)私立幼稚園園児保育料等給付事業について伺います。
大庭 質問①
2019年度10月から「幼児教育・無償化」が開始されました。2020年度(R2)私立幼稚園園児保育料等給付事業の支出額は49億9,870万円余となっています。国・県・市のそれぞれの支出割合と支出額について伺います。
佐藤 幼児教育 担当課長 答弁①
私立幼稚園園児保育料等補助事業についての御質問でございますが、
令和2年度施設等利用給付につきましては、国が2分の1、県が4分の1、市が4分の1の負担割合で、市の負担額は12億4,968万円余となっております。
大庭 質問②
川崎市の支出額は、約12億4,968万円とのことです。
保育料についてです。
2020年度私学助成の幼稚園の保育料の平均月額について伺います。幼稚園の「無償化」の基準は月額25,700円です。保護者の差額負担額はいくらになるのか、伺います。
佐藤 幼児教育 担当課長 答弁②
私学助成幼稚園の保育料等についての御質問でございますが、
本市が確認した市内の私学助成幼稚園における令和2 年度の平均月額保育料は30,730円で、施設等利用給付との差額5,030円が保護者の負担となっております。
大庭 質問③
川崎市の私立幼稚園保育料は月額平均3万730円とのことです。
2019年10月から「幼児教育・無償化」が開始されたとはいえ、「無償化」月額25,700円に対して保護者負担は5,030円。年間平均は60,000円余の負担となります。さらに前年の2019年度の平均月額保育料が2万9,823円でしたので、月額で約900円値上がったことになります。
そこで、保育料を完全無償化にした場合の額について伺います。また、保育料の増額分を負担した場合の額について伺います。
佐藤 幼児教育 担当課長 答弁③
保護者負担についての御質問でございますが、
令和2年度の無償化の対象人数と保護者の平均負担額を掛け合わせますと
10億934万円余り市の負担額が増加し、総額では22億5,902万円余となります。また、令和元年度から令和2年度の保育料の増額分に同様に対象人数をかけ合わせますと1億8,060万円余り市の負担額が増加し、総額では、14億3,028万円余となります。
大庭 質問④
次に入園料についてです。
平均入園料は17万円超で前年より約3,000円増となっています。さらにその他に教材費、通園バス費、行事等などもあるので、合計の自己負担額は50~60万円にもなります。「無償化」と言いながら、保護者の経済的負担が大きくのしかかっています。
私たちは、入園料補助10万円の創設を求めています。本市でも入園料補助を創設すべきです。見解を伺います。
佐藤 幼児教育 担当課長 答弁④
入園料についての御質問でございますが、
幼児教育の無償化後においても入園料は事実上、保護者負担となっているところでございます。 引き続き、川崎市幼稚園協会との意見交換等を通じて実態の把握に努め、国や他都市の動向等を注視してまいります。
大庭 質問⑤
保育料の補助についてです。
先ほどの答弁で、保育料を完全無償化した場合、総額では22億5,902万円余となるとのことでしたが、川崎市は、「無償化」以前まで就園奨励金を支出していました。2018年度、国が3分の1、川崎市3分の2で一般財源から15億2,100万円余の支出でした。市は、無償化によって、支出が12億円ですから以前支出していた分4億円の上乗せをすることはすぐにできることです。保育料の増額分を補助した場合で14億3,028万円です。
川崎市と隣接する東京都の自治体は、国の制度に上乗せした補助を行い「ほとんど自己負担がない」という自治体が広がっています。東京都は毎月1,800円の保育料補助を行っており、大田区の場合それに加え、世帯の収入などに応じてさらに月額8千円から1万2900円を補助しています。
他都市が行っているように保育料補助の単独加算などを行うことを検討すべきです。伺います。
佐藤 幼児教育 担当課長 答弁⑥
幼稚園の保育料についての御質問でございますが、
本市を含め都市部の私学助成を受ける幼稚園の保育料は、全国平均より高い水準であることは認識しておりますが、幼児教育の無償化により多くの保護者の負担軽減が図られたところでございます。さらに幼稚園協会への補助等を通じて、幼児教育の充実・振興を図っておりますので、今後につきましても、国の動向等を注視しながら幼児教育の充実に努めてまいりたいと存じます。
大庭 意見要望です。
本市は、幼稚園の保育料が全国平均より高いとの認識です。保育料の補助については、他都市のように世帯の収入別、また預けるこどもの人数によって、保育料の補助額に上限をつけていくなどして、保護者負担を軽減していくべきです。
また、入園料では、世田谷区9万円、大田区は11万円、所得制限なく補助があります。
幼稚園協会の関係者の方にお聞きすると、その他の出費があるので入園料の補助創設があると助かりますとのことでした。国の動向ではなく、他の自治体の動向をみて入園料補助等を検討するよう求めて、質問を終わります。